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秀逸かつ脱力の復唱 episode1

文 | 中野 みのりこ

 

みなさんも1度や2度や3度や4度、秀逸かつ脱力する「言い換え復唱」に

出会ってしまったご経験をお持ちのことでしょう。

 

別の言葉に置き換えて通話相手にお伝えすることで、個人情報などの

情報の登録に誤りがないかを相互確認するアレですが、何かと逸話を

生みがちなプロセスの代表格です。

 

私が忘れられない言い換え復唱 の代表格は、人名で「」という字の

言い換えにまつわるエピソードです。

 

おそらく「大介さま」とか「賢介さま」ですとか、そのような素敵な

お名前のお客さまだと想像できます。イケメン率も高そうなイメージ。

この素敵なお客様に対し、

 

 「イカみたいなほうの『スケ』」でございますね!」

 

ええわかります。

 

気持ちはよく理解できますけれども、脱力することこの上ない表現。

しかしまあ、個人的にはこのセンスには一票を投じたい。

 

推察するに「イカみたいじゃないほうのスケ」というのもこのかたの

思考回路には存在すると考えられます。

 

すなわち、もし「輔」だったら

「イカみたいじゃないほうのスケでございますね」

と申し上げる可能性があるということなのです。

 

または「くるまへんに、勝浦漁港の浦の右っかわのやつでございますね!」

とご案内するのかなどと、想像が駆け巡ってもう止まりません。

 

一時「命」という字を体で表現するネタが流行したことがありました。

 

「介」も同様に、両手を少し両脇から離して指先をスッと伸ばしつつ、

右足のつま先をやや上げて、介の文字をブースで体現しながら全力で復唱を

していたのかも、などと妄想も止まりません。

なんと愛すべきテレコミュニケーターなのでしょうか!

 

 

さて。この「」の文字はなかなか魅力ある文字で、別のコールセンター でも

お客さまのお名前の「介(すけ)」の文字を、何と海にいる「貝(かい)」で

登録し、そのまま重要書類に印字され送付されるというミスが発覚するという

笑えないミスに見舞われたと聞きました。

 

通話録音を聴くと、復唱の場面で

 

 「魚介の『カイ』でございますね!」

と、笑声で爽やかに復唱していたらしい。(注:話しを盛っています)

 

 

まあ、ここまで確かに間違ってない。

 

言語では一応は正しく「介」を表現しながらも、以降の脳内変換がグルメ過ぎて

魚介類=シーフードへの変換が行われた模様。

 

 魚介の介➡︎魚介類➡️(脳内変換)魚貝類➡︎「介(すけ)」を「貝(かい)」と入力

 

想像するに、昼休憩前の空腹時の対応がこの脳内変換を招いたのではと。

しかし、イカとか貝とか漁港とか、一体どうなっているのか。

ランチはペスカトーレ?

 

かくしてヒューマンエラーというものは起こるのであります。

   

しかし、これらは氷山の一角。

 

コールセンター 就労人口は100万人とも、200万人とも言われます。

日々たくさんの事件が起こり続けるのがコールセンター 。

 

秀逸な復唱があったらぜひ情報をお送りください。

お待ちしております!