文|小出 香
「ほんとに丁寧に教えてくださってありがとう」などとお客様に褒めていただいたとき、
「とんでもございません」と軽い謙遜の気持ちを返す言葉を返すことがある。
私がオペレーターの時代には敬語の誤用として指導を受けた言葉だ。
日本語だけではなく、言語は時代とともに変化する。もう10年以上前にはなるが、
文部科学省文化審議会答申として「敬語の指針」が出されている。
この中で「とんでもございません」は、
「相手からの誉め言葉や賞賛などを軽く打ち消すときの表現であり、現在では
こうした状況で使うことは問題ないと考えられる」と記載がある。
もちろん使用できる場面は限られているが、該当する使用方法について、旧来の
誤用として言葉遣いの指導をしていたりしないだろうか?
他人に指導をする立場にある人は、常に自分の知識をアップデイトしなければならない。
他にも「既存」の読み仮名は「きそん」が正しいと指導してきたが、「きぞん」と
読む人が多勢となり、2014年にNHKでも「きぞん」を優先することになった。
応対品質の指導の中で、言葉遣いの優先度は決して高くはない。
だが、オペレーター指導の際、自信をもって、理由を添えて指導できることは
とても大切なのだ。
憧れの品質指導者からの指導は受け入れられやすいこともまた事実。
とはいえ、忙しい日々の中でテキスト(文字)から知識を得ることに十分な時間が
裂けないという事情もわかる。
そんなあなたに朗報。
文化庁のホームページで「敬語の指針」の内容の一部を7つの短編動画にしたものが
閲覧できる。通勤途上に視聴してみてはいかがだろうか。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kokugo_shisaku/keigo/chapter1/index.html